1.はじめに
現金決済が主流だった日本において、Pay払いを代表とするQRコード決済などの新たな決済方法が浸透しつつあります。これには決済代行会社のポイント還元キャンペーンやコロナ禍による非接触を意識した生活様式の変化など多くの要因がありました。そんな中、税金の納付方法にも少しずつ変化が生まれ、納税者利便の向上を考えた多種多様な納付方法が存在しています。そこで今回は現行の納付方法など、そして今後改正予定の納付方法を紹介します。
2.7つの納付方法と対象税目など
現金納付(キャッシュレス納付以外の納付方法)
- ①窓口納付
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税務署や金融機関の窓口で納付
全ての税目で対応 - ②コンビニ納付
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QRコードやバーコード付納付書を使用した納付
全ての税目で対応(ただし、所得税徴収高計算書により源泉所得税を納付する場合など、利用できない税目もある)
利用可能額 30万円以下
キャッシュレス納付
- ③振替納税
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毎年の所得税確定申告などに係る国税を口座引落により納付
(振替納税の申込が必要)
申告所得税及び復興特別所得税の確定申告分、予定納税分など
消費税及び地方消費税(個人事業者)の確定申告分、中間申告分 - ④ダイレクト納付
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e-Taxから簡単な手続で口座引落により納付
(ダイレクト納付の申込が必要)
全ての税目で対応(ただし、送信データにより利用できない税目もある) - ⑤インターネットバンキングなど納付
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インターネットバンキング口座などから納付
全ての税目で対応(ただし、納付手続方法により利用できない税目もある) - ⑥クレジットカード納付
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インターネット上のクレジットカード支払の方法を利用して、「国税クレジットカードお支払サイト」から納付受託者に納付を委託して納付
全ての税目で対応(ただし、一部の税目については、「国税クレジットカードお支払サイト」から直接手続を行うことはできない) - ⑦スマホアプリ納付
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「国税スマートフォン決済専用サイト」から、利用するスマホ納付
決済アプリ(Pay払い)を選択し、納付受託者に納付を委託して納付
全ての税目で対応(ただし、印紙を貼り付けて納付する場合など、利用できない税目もある)
利用可能額 30万円以下
現在は上記の7つの納付方法が採用されています。
これにより、ひと昔前は金融機関や税務署の窓口に出向き、列に並び、処理を待つなど時間を要していた納付作業が、納税者利便の向上を考えたキャッシュレス納付が可能となってからは、自宅でや会社で、いつでも素早く納付ができるよう改正されています。
3.ダイレクト納付がさらに便利に
令和6年4月以降、e-Taxで申告データを送信する際に、納税についてダイレクト納付の意思表示(チェックボックスにチェック)を行うことで、改めて納付指示などを行うことなく、法定納期限(※)に自動で口座引落しを行えるようになります。
※法定納期限当日に電子申告を行った場合はその翌取引日に口座引落しされますが、期限内に納付したものと取扱われます。
この改正により今後は、納付手続きの省略による事務負担の軽減、納付手続きの人為的ミスによる納付漏れの防止など、納税者にとっての利便性が高まります。
4.最後に
これまで紹介してきたように現在では多くの納付方法が採用され、それぞれの方法も利便性の向上を考慮した改正が行われています。従前の納付方法の踏襲はもちろん、これを機会に御自身にあった納付方法を探してみてはいかがでしょうか。
納付方法に迷ったときは、税の専門家である税理士にご相談下さい。
税理士 和嶋賢治