【労務】第99弾 改正育児・介護休業法4月から段階的に施行/常時介護を必要とする状態に関する判断基準の見直

改正育児・介護休業法 4月から段階的に施行

 昨年5月に改正育児・介護休業法が成立しました。
 今年4月から段階的に施行されますが、今月号では4月から義務化される事項について、取り上げたいと思います。

【 改正の概要 】

1.子の看護休暇の見直し

改正内容施行前施行後
対象となる子の範囲の拡大小学校就学の始期に達するまで小学校3年生修了まで
取得事由の拡大(③④を追加)①病気・けが
②予防接種・健康診断
①病気・けが
②予防接種・健康診断
③感染症に伴う学級閉鎖等
④入園(入学)式、卒園式
労使協定による継続雇用期間
6か月未満除外規定の廃止
[除外できる労働者]
①週の所定労働日数が2日以下
②継続雇用期間6か月未満
[除外できる労働者]
①週の所定労働日数が2日以下
※②を撤廃
名称変更子の看護休暇子の看護等休暇

2.所定外労働の制限(残業免除)の対象拡大

改正内容施行前施行後
請求可能となる労働者の範囲の拡大3歳未満の子を養育する労働者小学校就学前の子を養育する 労働者

3.介護休暇を取得できる労働者の要件緩和

改正内容施行前施行後
労使協定による継続雇用期間
6か月未満除外規定の廃止
[除外できる労働者]
①週の所定労働日数が2日以下
②継続雇用期間6か月未満
[除外できる労働者]
①週の所定労働日数が2日以下
※②を撤廃

⒋.介護離職防止のための雇用環境整備

 介護休業や介護両立支援制度等の申出が円滑に行われるようにするため、事業主は以下①~④のいずれかの措置を講じなければなりません。

  1. 介護休業・介護両立支援制度等に関する研修の実施
  2. 介護休業・介護両立支援制度等に関する相談体制の整備(相談窓口設置)
  3. 自社の労働者の介護休業取得・介護両立支援制度等の利用の事例の収集・提供
  4. 自社の労働者へ介護休業・介護両立支援制度等の利用促進に関する方針の周知

5.介護離職防止のための個別の周知・意向確認等

  1. 介護に直面した旨の申出をした労働者に対する個別の周知・意向確認 
  2. 介護に直面する前の早い段階(40歳等)での情報提供

常時介護を必要とする状態に関する判断基準の見直し

 介護休業等の制度で使用される「常時介護を必要とする状態に関する判断基準」について、基準の見直しが行われました。

◇常時介護を必要とする状態に関する判断基準

 介護休業は、対象家族であって2週間以上の期間にわたり常時介護を必要とする状態にあるもの(障害児・者や医療的ケア児・者を介護・支援する場合を含む。ただし、乳幼児の通常の成育過程において日常生活上必要な便宜を供与する必要がある場合は含まない。)を介護するための休業で、常時介護を必要とする状態については、以下の表を参照しつつ、判断することとなります。

「常時介護を必要とする状態」とは、以下の(1)または(2)のいずれかに該当する場合であること。
(1)項目①〜⑫のうち、状態「2」が2つ以上または「3」が1つ以上該当し、かつ、その状態が継続すると認められること。
(2)介護保険制度の要介護状態区分において要介護2以上であること。

項目/状態
①座位保持(10分間一人で座っていることができる)自分で可支えてもらえれば できるできない
②歩行(立ち止まらず、座り込まずに 5m程度歩くことができる)つかまらないでできる何かにつかまれば できるできない
③移乗(ベッドと車いす、車いすと便座の間を移るなどの乗り移りの動作)自分で可一部介助、 見守り等が必要全面的介助が必要
④水分・食事摂取自分で可一部介助、 見守り等が必要全面的介助が必要
⑤排泄自分で可一部介助、 見守り等が必要全面的介助が必要
⑥衣類の着脱自分で可一部介助、 見守り等が必要全面的介助が必要
⑦意思の伝達できるときどきできないできない
⑧外出すると戻れないことや、危険回避ができないことがあるないときどきあるほとんど毎回ある
⑨物を壊したり衣類を破くことがあるないときどきあるほとんど毎日ある
⑩周囲の者が何らかの対応を取らなければならないほどの物忘れなど日常生活に支障を来すほどの認知・行動上の課題があるないときどきあるほとんど毎日ある
⑪医薬品又は医療機器の使用・管理自分で可一部介助、 見守り等が必要全面的介助が必要
⑫日常の意思決定できる本人に関する重要な意思決定はできないほとんどできない
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