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HOME労務・税務・金融税務に関する情報 > 知っておきたい最新の税務情報 第38弾

知っておきたい最新の税務情報 第38弾 [2014.02.25]

「国外財産調書」の提出が始まりました。


 相続税と贈与税は、相続税法の規定を受け、国内に住所のある者は「居住無制限納税義務者」と呼ばれ、国内・国外財産すべてに課税がされます。しかし財産を国外に持ち出せば、税務署に見つからず、相続税や贈与税が掛からずに済むのではないかと考える人は少なくありません(はっきり言えば、脱税です)。ヒト・モノ・カネの国際化が急速に進展する中で、海外へ自己の資産を移転し、課税逃れを目論む人が増えているようです。
 確かに国内で定期預金を組んでも雀の涙程度の利息しか付きません。ボストンバッグに1万円札を詰め込み、香港などへ持っていき、現地で「プレミア口座」(最低預入金額の定めがあり、各種優遇措置が受けられる口座等)を開設するサラリーマンも増えています(但し、一定金額以上の現金を税関に無申告で海外へ持ち出すことは外為法違反です)。
 また最近ではハワイやマレーシアなどで移住やロングステイする中高年世代が増え、ついでにマンションやコンドミニアムを購入することも確実に増加しています。海外では不動産はまだまだ値上がり傾向が顕著であるのも人気の理由です。
 危機感を強めた財務省・国税庁は、新たに「国外財産調書」制度を平成24年度税制改正で創設しました。これは年末時点で時価5000万円超の財産を国外に保有している居住者(個人)に対し、国外財産の種類・所在・数量・価額等の明細を翌年3月15日までに税務署に提出を義務付けるというものです。
 国外財産の価額はその年の12月31日時点の「時価」または「見積価額」により、円換算も同日の外国為替相場によることとされています。諸外国でもこのような外国資産報告制度は既に一般的に施行されています。
 国外財産調書制度は、平成25年12月31日時点で所有している国外財産から適用され、初回は平成26年3月17日までに提出することになります。この制度は、あくまで納税者本人が所有する国外財産を正直に報告するもので、適正な事実を報告した人が損をするようでは誰も進んで調書提出をしなくなってしまいます。もともと国外財産の存在有無及びその額は国税庁自身も把握しにくいのが現状だからです。
 そこでこの制度は、適正な調書提出をした者に対しては、将来、国外財産につき所得税・相続税申告漏れがあった場合に加算税を5%減額する「インセンティブ」を与えることとしました。逆に調書を提出していなかった者あるいは記載内容に不備があった者に対しては加算税を5%増額するペナルティを科します(図表参照)。国税制度で過少申告加算税等を軽減する措置は極めて異例であり、国税当局が多くの納税者から、どのようにして「任意」に提出してもらおうか苦心している様子が見てとれます。
 他方で罰則規定も強化されます。こちらは平成27年1月1日以後に調書を提出すべき人からの適用となり、故意の国外財産調書不提出や虚偽記載があった場合には1年以下の懲役または50万円以下の罰金が科せられます。
 すでに開始されている「国外財産調書」の提出ですが、アメとムチによる制度がどの程度効果を発揮し、今年度の提出件数がどこまで達するかに関心が高まっています。


国外財産調書提出に関連する加算税の割合
過少申告加算税の場合

ケース

原則

調書提出

調書不提出
あるいは記載不備

追加納付税額が期限内申告税額を超える部分
(但し、追加納付税額が50万円未満を除く)

15%

10%

20%

追加納付税額が、50万円未満または
期限内申告税額以下の場合

10%

5%

15%


税理士 樋沢武司