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HOME労務・税務・金融税務に関する情報 > 知っておきたい最新の税務情報 第50弾

知っておきたい最新の税務情報 第50弾 [2015.02.12]

簡易課税制度のみなし仕入率の見直し

 消費税の簡易課税制度は、「簡易課税制度を選択する旨の届出書」を提出した事業者が、基準期間における課税売上高が5,000万円以下の課税期間について適用することができる控除税額の計算の特例制度です。
 簡易課税制度は、実際の課税仕入に係る消費税額を税額控除するのに代えて、課税標準額に対する消費税額に一定の仕入率を乗じて計算した金額を控除対象仕入税額とみなして計算する制度です。
 簡易課税制度においては、事業形態により、第1種事業から第5種事業までの5つの事業に区分し、それぞれの事業の課税売上高に対し、第1種事業については90%、第2種事業については80%、第3種事業については70%、第4種事業については60%、第5種事業については50%のみなし仕入率を適用して仕入控除税額を計算します。
 第1種事業は卸売業をいいます。第2種事業は小売業をいいます。第3種事業は農業、林業、漁業、建設業、製造業等をいいます。第4種事業はその他の事業をいい、具体的には、飲食店業、金融・保険業などです。第5種事業は不動産業、運輸通信業、サービス業をいいます。
 平成26年度改正により、平成27年4月1日以後に開始する課税期間から第4種事業に区分していた金融・保険業を第5種事業に区分することになりました。また新たに第6種事業を新設し、みなし仕入率を40%に設定したうえで、第5種事業に区分していた不動産業を第6種事業に区分することになりました。
 この改正は、店舗、事務所などの非居住用賃貸収入がある事業者に大きな影響があります。個人事業者であれば、平成28年分の申告から平成29年にかけて、税率の引上げとともに確実に納税額が増加します。
 簡易課税を適用する場合の事業区分は、原則として、その事業者が行う課税資産の譲渡等ごとに行います。今回の改正で不動産業は第6種事業に区分することとなりましたが、不動産業者の業務すべてが第6種事業に該当するわけではありません。不動産取引の仲介手数料、貸店舗の家賃収入は不動産業として第6種事業になります。
 購入した建物をそのまま他の事業者に対して販売する場合には第1種事業、消費者に対して販売する場合には第2種事業に区分されます。中古住宅をリフォームをして販売する場合には、性質及び形状の変質が行われているものとして建設業として第3種事業に区分されます。建設業者に依頼して建築した分譲住宅を売却した場合には、第3種事業に区分されます。
 今回の改正の経過措置として、平成26年9月30日までに「簡易課税制度選択届出書」を提出した事業者については、簡易課税制度の強制適用期間中の2年間に限り、改正前のみなし仕入率が適用されます。
 改正により、簡易課税制度から一般課税制度に変更するべきかどうか、検討する必要があります。不動産賃貸業において、土地の貸付け及び住宅の貸付けは非課税とされており、一般課税による控除対象仕入税額の計算は複雑になり、事務負担が増えます。また、建物等の取得や大規模修繕等の予定を考慮して、簡易課税制度と一般課税制度の選択時期を検討することになります。
 簡易課税制度は、中小事業者の納税事務負担を軽減する目的で導入された制度です。簡易課税における業種区分は、抽象的な事業区分で、そのみなし仕入率の適用によって税負担に差異が生じるという問題点があります。また、2種類以上の事業を行う事業者の1種類または2種類の課税売上高が全体の75%以上を占める場合等には、みなし仕入率の適用の特例があります。簡易課税制度の趣旨に反して、事務処理が複雑となり、業種区分判定の重要性と困難性が強調されてきています。
 実際の仕入率とみなし仕入率とが乖離しているため、消費税額の一部が事業者の手許に残ってしまうという制度上の批判がありますが、簡易課税制度を採用する以上、それを完全になくすことはできません。
 ドイツの特例制度は、40種類の業種区分が設けられています。ドイツのようなみなし仕入率の細分化は、簡易課税制度をより複雑なものにするばかりか、区分をいくら細分化しても、実態に完全に合わせることはできません。
 今後、簡易課税制度は、適用上限の水準の問題とあいまって、制度全体が有効性と公平性を高める制度であることを考慮して検討されなければなりません。


中川支部 加藤 玲子