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HOME労務・税務・金融税務に関する情報 > 知っておきたい最新の税務情報 第54弾

知っておきたい最新の税務情報 第54弾 [2015.06.04]

「相続税対策」その前に

 今年から相続税の基礎控除縮小等により増税となったことは周知のとおりです。財産を多く所有される方にとっては消費税より相続税増税の方がずっと深刻な問題です。税金を安くしたいと思うのは人情ですが、相続税の場合は「財産を取られる」との感覚が強く出てしまいがちです。資産家の不安感をあおるような形で相続税対策ビジネスが近年、急成長を遂げています。
 相続税対策として昔から活用されているものに、賃貸アパート経営があります。これは借金をして自己所有地に共同住宅を建て、アパート経営をすることで、土地は「自用地」から「貸家建付地」に、建物は「自用家屋」から「貸家」に評価が変わり、相続税評価額が圧縮される仕組みです(図参照)。ハウスメーカーの節税セミナーはどこも盛況で、賃貸物件を利用する節税策は全国的に非常に好調です。現に大手ハウスメーカーは近年増収増益が目立ち、特に賃貸物件部門で売上を大きく伸ばしています。

図:設例

 しかし、みんなが同じような相続税対策をしていて果たして大丈夫なのでしょうか?
 日本は人口減少時代に突入しています。人口が着実に増えてきた愛知県でさえもまもなく減少に転じます。実はアパート経営にとって重要なのは世帯数であり、こちらはまだ増加している地域も少なくないのですが、いずれ減少に向かいます。
 もうひとつの問題は空室です。今年2月に総務省は「住宅・土地統計調査(平成25年10月時点)確報版」を公表しました。それによると全国の空家数は約820万戸(5年前より63万戸増)、空家率は13.5%(同0.4%増)と過去最高となっています。共同住宅だけでも空家は約470万戸を数えます。空家の増加は社会問題になりつつあり、昨年11月には「空家等対策の推進に関する特別措置法」が成立しています。
 東海地方では近年、築年数が10年以上経過した中古物件の空室率が上昇する傾向が顕著です。人気の鉄道路線だからといって安心できません。人気エリアはその需要以上に供給が多く、築古物件が苦戦しているケースが続出しています。
 よほど賃貸需要が旺盛な地域を除けば、賃料は築後数年経過した時点で低減させていかないと市場実態とは乖離してしまいます。賃貸物件建設を検討する際には、ハウスメーカーから収支見込表が提示されます。さすがに想定賃料を20年間横ばいとするものは減りましたが、まだまだ甘い見通しで賃料推移を判断しているものが目立ちます。
 将来の賃料が低下し、空室率も見込以上となってしまうと、そもそも不動産経営が成り立たなくなる可能性があります。減価償却をする際の法定耐用年数は構造によって異なります(木造で22年)が、長期間に渡ります。多額の借金でアパート建設をしている場合は、キャッシュフローが回らなくなり、借金返済に難儀する危険性を認識する必要があります。


 相続税対策を始められる方は不動産経営も事業のひとつだということを忘れないでください。一般の事業で他人の言いなりで借金をする人はまずいません。経営知識なしで不動産経営をする時代は終わりつつあります。


税理士 樋沢武司