労務に関する問題

税務に関する問題

金融に関する問題

平井先生の労務のツボ

税務に関する問題

金融に関する問題

セミナー

検定

キラリ★この企業

電話でのお問い合わせ

お問い合わせ メールはコチラ

税務に関する情報

HOME労務・税務・金融税務に関する情報 > 知っておきたい最新の税務情報 第86弾

知っておきたい最新の税務情報 第86弾 [2018.02.27]

公益法人制度改革の今

 社団法人や財団法人といった公益法人について、新たな制度の下に、一般か公益という具合に区別されて数年が経過しました。これらの法人の中には、皆さまにも馴染みがある団体もあるのではないでしょうか。
 
 公益法人制度改革が求められた背景としては、従来の公益法人制度が、民法制定時に創設されて以来、100年以上一度も抜本改革されておらず、全国に約25,000法人が存在するものの、現状において存在実態自体が明らかでない法人や、公益性が疑わしい法人などが少なくないことから、行政改革の一環として、天下り先や、行政の無駄を省き、民間による活力を増進させる目的で事実上の解体及び再編成を行ったものでした。
 この新たな公益法人制度(平成20年施行)においては、一般社団法人、一般財団法人という「一般的な非営利法人」を前提とし、その中で、事業や組織の公益性を第三者委員会が認めたものを公益社団法人、公益財団法人とする二階建て構造の仕組みとなっています。
 
 従来の公益法人は、平成25年11月30日を期限として新たな公益法人制度への移行手続きを行わなければ解散扱いとされたため、現に活動実態はあるものの、会員会費のみで運営しているような小規模法人が、かかる制度改正への対応に苦慮した感は否めず、また、新たな制度へ移行した上で「公益性が認定」された法人であっても、これが取り消された場合には、一定の保有財産を類似の公益法人又は国・地方公共団体へ強制的に贈与しなければならないこととなりました。
 公益認定を受けるメリットとしては、社会的信用を得ることや、当該法人に対する寄付についての優遇税制等が挙げられますが、その認定要件は曖昧かつ難解で、事業支出の過半を公益目的に費消する事、理事役員等の欠格事由や利害関係者の排除、保有財産の制限等があり、これらを行政庁の監督の下で運営管理していくには、相当の事務労力が求められます。
 
 この制度について、私有財産と公権力との線引きを行う租税法令を見慣れた我々税理士の視点からすると、強制的に財産を贈与するという侵害規定を有している割には、極めて網の目が粗く、判断を「有識者」による第三者委員会に委ねているという構造的な脆さを感じます。そもそも、何が公益で何が私益で何が共益なのかは今のところ誰にも明確な区別がつけられず、制度に対する周知不足や誤解と共に、運用自体も未だ混沌の中にあるようです。
 さて、最近の公益認定の取消事例を見ると、役員の欠格事由を理由に勧告なしに行政による取消処分が行われているケースもあり、また、法人が自主的に公益認定の取消申請を行った場合も財産の扱いについては取消処分と同様とされています。他方では、一般法人であれば簡単に設立ができることからその悪用が懸念されているところです。
 
 一旦出来上がった制度は、事例の積み重ねと共に改善していくものと期待するしかありませんが、公益法人は、本来の役割を考えて、人間社会の営みに寄与する活動と、これを促進する制度設計を行ってほしいと願うところです。

税理士 福井 健