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HOME労務・税務・金融税務に関する情報 > 知っておきたい最新の税務情報 第92弾

知っておきたい最新の税務情報 第92弾 [2018.08.09]

民事信託の活用と課税関係

 信託とは、自分(委託者)の財産を、信頼できる人や法人(受託者)に託し、自分が決めた目的(信託目的)に沿って親族や自分(受益者)のために運用・管理をしてもらう制度です。
 平成18年12月の信託法の改正により、営利目的でなければ、信託業免許の有無にかかわらず受託者となれるように変更となり、従来の営利目的で行う「商事信託」と区別して、「民事信託」「家族信託」などと呼ばれています。これにより生前贈与や遺言による相続では実現が難しいような事例においても、家族等が受託者となり家族の在り方や財産の承継についての多様な考え方を反映することで、円滑な財産管理や承継を行うことができるようになりました。

民事信託の種類と課税関係

(1) 委託者と受益者が同一の信託(自益信託)

 委託者と受益者が同一の信託を、自益信託といいます。例えば賃貸用不動産を所有するAさんが、高齢となり管理能力が衰えてきたため、管理を長男Bさんに任せつつ、得られる利益は自身で受け取りたいと考えた場合、委託者及び受益者をAさん、受託者をBさんとする信託契約を結びます。
 この場合には、受託者が信託財産の名義人となり、委託者に代わり財産の管理等を行うことができる権利を取得しますが、信託財産から生じる利益は受益者が受け取ります。つまり、信託財産の実質的な所有者は受益者であるAさんのままであると考えられ、実質的な所有権の移転はないため、課税関係は生じません。
 ただし、Aさんが死亡した場合には、委託者としての地位や受益権は相続財産として相続税の課税対象となります。


(2) 委託者と受益者が異なる信託(他益信託)

 委託者と受益者が異なる信託を、他益信託といいます。例えば賃貸用不動産を所有するAさんが、その不動産を長男Bさんに贈与したいが、Bさんに賃貸管理能力がないため、Aさんの弟Cさんに管理を行ってもらい、得られる利益はBさんに渡したいと考えた場合、委託者をAさん、受託者をCさん、受益者をBさんとする信託契約を結びます。
 この場合、信託の効力が生じた時において、当該信託の受益者となるBさんは、当該信託に関する権利を委託者であるAさんから贈与により取得したものとみなされ、贈与税が課されます。
 また信託期間中、信託財産から生じる利益は受益者が受け取りますので、その利益について受益者であるBさんに対して所得税が課税されます。
 その後、信託が終了した時点で残余財産を受けることになっても、信託開始時に贈与税がすでに課税されているため、改めて課税関係は生じません。


(3) 受益者をあらかじめ決めておく信託(受益者連続型信託)

 現受益者の有する信託受益権が、その受益者の死亡により、予め指定された者に順次承継される旨の定めのある信託のことを受益者連続型信託といいます。受益権の承継回数に制限はなく、また、信託設定時において受益者が現存している必要もありませんので、例えば委託者Aさんが賃貸用不動産から生ずる利益を代々子孫に受益させたいと考えた場合は、第1受益者を長男のBさん、Bさん死亡後の第2受益者を孫のCさん、Cさん死亡後の第3受益者をCさんの長男(未出生)というように設定することができます(ただし信託契約時から30年を経過後に受益者の死亡によって新たに受益権を取得した者が死亡するまで、または、当該受益権が消滅するまでとされています)。
 この場合受益者の死亡による受益権の承継が発生する都度、当該受益権(元本受益権+収益受益権)が財産権として相続税の課税対象となります。

信託の活用

 信託には様々な形態が存在しますが、今回は営利を目的としない個人間の民事信託のうち、不動産・動産の管理等の一般的な信託(受益者等課税信託)について説明しました。信託では「いつ・誰に・何の目的で・どんな財産を渡すか」を柔軟に設定できるため、委託者の意思に沿った財産管理や承継が可能になります。上記以外にも様々な形での信託の可能性がありますが、それぞれの状況により課税関係が異なりますので、信託をご検討の際はお近くの税理士にご相談されることをお勧めいたします。

 
税理士 矢田宏昌