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HOME労務・税務・金融税務に関する情報 > 知っておきたい最新の税務情報 第94弾

知っておきたい最新の税務情報 第94弾 [2018.10.22]

取引相場のない株式の評価

 中小企業の大部分は証券取引所等に上場しておらず、その会社の株式の評価の計算は財産評価基本通達によることが多いです。この財産評価基本通達は相続税又は贈与税の計算を行う際、その課税対象となる財産の評価計算について定めたものです。
 平成30年度の税制改正で事業承継税制の取り扱いが大きく変わりましたが、その対象となる取引相場のない株式等の評価方法について、平成29年1月1日から、財産評価基本通達における取り扱いも大きく変わっています。
 そのため、事業承継を考える上でその基礎となる取引相場のない株式の評価について、中小企業のオーナーにとって影響を及ぼすと考えられる改正のうち主なものをとりあげます。


1. 会社規模の判定基準

 取引相場のない株式の評価はその評価対象の会社を大会社、中会社、小会社のいずれに該当するかに応じてそれぞれ評価することとされています。
 一つの例として、大会社の従業員数の判定は従来100人以上とされていたのが、70人以上と引き下げられ、また、取引金額の判定も従来20億円(卸売業は80億円)以上とされていたのが、15億円(卸売業は30億円)以上と引き下げられました。





区分の内容 総資産価額(帳簿価額によって計算した金額)及び従業員数 直前期末以前1年間における取引金額


従業員数が70人以上の会社又は右のいずれかに該当する会社 卸売業 20億円以上(従業員数が35人以下の会社を除く。) 30億円以上
小売・
サービス業
15億円以上(従業員数が35人以下の会社を除く。) 20億円以上
卸売業、小売・
サービス業以外
15億円以上(従業員数が35人以下の会社を除く。) 15億円以上


従業員数が70人未満の会社又は右のいずれかに該当する会社(大会社に該当する場合を除く。) 卸売業 7,000万円以上(従業員数が5人以下の会社を除く。) 2億円以上
30億円未満
小売・
サービス業
4,000万円以上(従業員数が5人以下の会社を除く。) 6,000万円以上
20億円未満
卸売業、小売・
サービス業以外
5,000万円以上(従業員数が5人以下の会社を除く。) 8,000万円以上
15億円未満


従業員数が70人未満の会社で右のいずれにも該当する会社 卸売業 7,000万円未満又は従業員数が5人以下 2億円未満
小売・
サービス業
4,000万円未満又は従業員数が5人以下 6,000万円未満
卸売業、小売・
サービス業以外
5,000万円未満又は従業員数が5人以下 8,000万円未満
〈財産評価基本通達の一部改正について(法令解釈通達)平成29年4月27日より〉

2.中会社の計算方法

 また、中会社の評価計算をする際、類似業種比準価額と1株当たりの純資産価額を斟酌する割合の判定基準が引き下げられました。


3.類似業種比準価額の計算
(1)類似業種の株価

 従来は課税時期の属する月以前3か月間の各月の類似業種の株価のうち最も低いもの、または類似業種の前年平均株価とされていましたが、課税時期の属する月以前2年間の平均株価が追加されました。

(2)算式の変更

 類似業種比準価額の計算は、1株当たりの配当金額、年利益金額、純資産価額の3つの要素を用いて行います。従来は、この3要素のうち年利益金額を3倍して他の2要素と比準(1:3:1)していましたが、年利益金額の3倍が廃止され(1:1:1)の比準割合になりました。


 上記の改正は、それぞれの評価対象となる会社の状況により影響は異なります。
 1の改正により、会社規模が上がると類似業種比準方式と純資産価額方式の折衷割合が変動するため、従来、純資産価額が高かった会社については、その評価額が下がることが見込まれます。また2の改正により類似業種比準価額の斟酌割合の増加が見込まれるため、さらに改正による効果が見込まれます。
 そして3(1)の改正により、上場会社の株価が上昇している業種の会社については、その影響を減少させる効果が見込まれます。また3(2)の改正については、高成長で収益・利益を獲得している会社については、利益の比重が下がることで従前に比べて評価額が下がることが見込まれます。一方、過去の利益が内部留保されて純資産価額が大きい会社については、その評価額が上がることが考えられます。
 事業承継対策の足掛かりとして、改めて所有されている取引相場のない株式の評価額について税理士にご相談されることをお勧めいたします。


税理士 林 雄一