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HOME労務・税務・金融税務に関する情報 > 知っておきたい最新の税務情報 第110弾

知っておきたい最新の税務情報 第110弾 [2020.02.29]

研究開発税制の改正

1.はじめに

 最近の企業経営においては、働き方改革や人手不足に対応するための生産性向上が喫緊の課題となっています。このような中、民間企業の研究開発投資の維持・拡大によりイノベーション創出に繋がる中長期・革新的な研究開発等を促し、我が国の成長力・国際競争力の強化、研究開発投資の質と量の向上を目的とした研究開発税制(試験研究を行った場合の税額控除制度)が平成31年度に改正されました。 研究開発税制は、試験研究費の一定割合金額について法人税額控除を受けられるものです。
 以下、本稿では、平成31年4月1日以後に開始する事業年度に適用される、改正後の研究開発税制について解説します。



2.対象となる試験研究費の範囲

 試験研究費とは、「①製品の製造若しくは技術の改良、考案若しくは発明に係る試験研究のために要する一定の費用」又は「②対価を得て提供する新たな役務の開発に係る試験研究のために要する一定の費用」をいいます。本稿では、より一般的な①を中心に説明します。

①の一定の費用とは、以下のものが挙げられます。
・試験研究を行うために要する原材料費、人件費及び経費
・試験研究を行うために外部に支払う委託研究費
・技術研究組合に支払う賦課金
・試験研究のために使用する減価償却資産の減価償却費


3.改正の概要
1.総額型(対象:試験研究費全般)
【図 出典 経済産業省「研究開発税制の概要」内(A-1)参照】
①研究開発を行う一定のベンチャー企業について、控除税額の上限が法人税額の40%(改正前25%)に引き上げ
②試験研究費の増減率が+0~+8%の範囲の場合は税額控除率が増加、△25%~0%の範囲の場合は税額控除率が減少
③上乗せ措置である「平均売上の10%を超える試験研究費にかかる税額控除(高水準型)」が改組され、税額控除率を一定程度割増した上で総額型に統合。

2.オープンイノベーション型(対象:特別試験研究費)
【図 出典 経済産業省「研究開発税制の概要」内(B)参照】
  試験研究費の額のうち国の試験研究機関、大学その他の者と共同して行う試験研究費等を「特別試験研究費」といいます。
①研究開発型ベンチャー企業の共同研究・委託研究や、一定の要件を満たす民間企業への委託研究を対象範囲に追加
②控除額の上限を法人税額の10%(改正前5%)へ引き上げ


4.税額控除額の計算
1.総額型
・税額控除額=試験研究費の総額×税額控除率(A+B) (※3)
 A:試験研究費の増減割合に応じて6%~14%(※1)
B:A×控除割増率(控除割増率=[試験研究費割合-10%]×0.5) (※2)
※1 ・増減試験研究費割合>8%:9.9%+(増減試験研究費割合-8%)×0.3(上限14%)
・増減試験研究費割合≦8%:9.9%-(8%-増減試験研究費割合)×0.175(下限6%)
・「設立事業年度」又は「比較試験研究費の額がゼロ」:8.5%
※2 控除割増率は10%を上限
※3 法人税額×25%を上限(研究開発を行う一定のベンチャー企業は40%)
【上乗措置】
 ・税額控除額=法人税額×(試験研究費割合-10%)×2(※4)
※4 法人税額×10%を上限

2.オープンイノベーション型
 ・税額控除額=特別試験研究費×20%又は25%又は30%(※5、6)
※5 法人税額×10%を上限
※6 相手方が大学・特別研究機関等の場合は30%、研究開発型ベンチャー企業の場合は25%等


5.おわりに

 改正後の研究開発税制では法人税の税額控除限度額の比率が高くなったほか、増減試験研究費割合が高いほど税額控除率も高くなっており、試験研究活動を行う企業にとって適用によるメリットが大きくなっています。また、このほか中小企業者等への上乗せ措置も合わせて改正されています(中小企業技術基盤強化税制【図 出典 経済産業省「研究開発税制の概要」内(A-2)参照】)。試験研究費に該当する費用の範囲、中小企業者等への上乗せ措置については税理士にご相談ください。



【図 出典 経済産業省「研究開発税制の概要」】



税理士 鈴木 康也