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HOME労務・税務・金融税務に関する情報 > 知っておきたい最新の税務情報 第116弾

知っておきたい最新の税務情報 第116弾 [2020.08.31]

近年の相続税法等の改正内容と税理士の役割の広がりについて

 ここ数年、相続税法などを中心とした相続に関連した法律の改正が頻繁に行われ、われわれ税の専門家である税理士にとっても対応に苦慮する場面が増えてきました。そこで今回のテーマとして、最近の相続税法等の主な改正内容を確認した上で、税理士の役割や社会からの期待の増大について考察します。


1.平成27年から改正された相続税法等

 平成27年1月1日以降、相続税法の大改正が行われたことは記憶に新しいところです。この改正により、相続税申告が必要な納税義務者の割合は、従来の約4%から8%ほどに倍増したと言われています。

①遺産に係る基礎控除額の引き下げ

基礎控除額が従来の60%に減額されました。具体的には定額部分が3,000万円(改正前は5,000万円)、法定相続人1人当たり600万円(改正前は1,000万円)に減額されました。

②相続税率の見直し

税率が高い部分の税率構造が増税の方向で見直され、特に最高税率が55%(改正前は50%)に改正されました。

③小規模宅地等の特例の範囲拡大

特定居住用宅地等の限度面積が330㎡(改正前は240㎡)に拡大し、特定事業用宅地等及び特定同族会社事業用宅地等の400㎡と併用した場合、最大730㎡(改正前は400㎡)まで適用可能となりました。


2.平成30年7月法案可決・成立の相続法の改正

 民法を中心とした相続に関係する法律(相続法)が約40年ぶりに大改正されました。

①配偶者居住権の新設(令和2年4月1日施行)

配偶者居住権とは、相続開始時に被相続人の持ち家に同居していた配偶者は、終身にわたりその自宅に住み続けることができる権利のことです。自宅の不動産所有権を、「所有権」と「居住権」に分け、評価額の低い「居住権」を優先的に配偶者に与えるものです。

②特別寄与料制度の新設(令和元年7月1日以降の相続事案に適用)

相続人ではない親族(例えば子の配偶者など)が、無償で被相続人の介護や看病を行って被相続人の財産の維持等に貢献した場合、相続人に対して金銭の請求ができるようになりました。


3.平成30年の相続税法の改正

 事業承継税制のこれまでの措置(一般措置)に加え、10年間の特例措置として、納税猶予の対象となる非上場株式等の株数制限の撤廃(従来は総株式数の3分の2まで)や、納税猶予割合の引上げ(従来の80%から100%へ)、雇用確保要件の緩和等がなされ、利用し易くなりました。


4.平成31年の相続税法の改正

 前年改正の法人の事業承継税制の改正を引き継ぐ形で、個人事業者の事業承継税制が創設されました。個人事業者の納税猶予の対象となる事業用資産とは、被相続人の事業に供されていた土地(400㎡まで)、建物(床面積800㎡まで)、建物以外の減価償却資産等の特定事業用資産です。



 最近の相続税法等の改正内容は、基本的には増税指向であるものの、事業承継税制の改正や小規模宅地等の特例の拡充などに見られるように、事業の跡継ぎ問題など社会のニーズを捉えたメリハリのきいたものとなっております。毎年の税制改正により、より高度な知識や専門性が要求され、税の専門家である税理士に課された使命はより大きくなってきております。
 また、上記の税制改正による相続税の課税範囲の拡大により、相続人間の争いが急増し、裁判所への持ち込み件数も増大してきております。公正な立場の第三者である税理士が関わっていくことにより、社会のニーズにより一層応えていけるのではないかと考えます。


税理士 林 一伸