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HOME労務・税務・金融税務に関する情報 > 知っておきたい最新の税務情報 第119弾

知っておきたい最新の税務情報 第119弾 [2020.11.04]

現物給与に係る給与課税〜永年勤続記念品の旅行券は給与課税される?〜
1.現物給与の基本的な考え方

 会社に勤めている方は、給与以外にも福利厚生等としてその会社から金銭以外の物又は権利などの支給を受ける(経済的な利益を享受する)ことがあります。例えば、昼食の補助、社宅の低額での貸付、社員旅行の負担、健康診断費用、業務改善提案の報奨金、資格取得のための研修費用、創業記念や永年勤続表彰の記念品などです。これらは「現物給与」と呼ばれ、原則として、金銭で支給を受ける給与と同じように源泉徴収の対象(給与課税)となります。


2.給与課税されない現物給与

 原則として給与課税される現物給与ですが、職務の性質上欠くことのできないもので主として使用者側(会社側)の業務遂行上の必要から支給されるものなど、給与と異なる性質のものがあります。そのため、特定のものは給与課税されないよう取扱いが定められています。給与課税されない現物給与には次のようなものがあります。

①通勤手当で一定の限度額までのもの

②社宅や寮などの一定額での貸付(一般的な家賃相場より相当に低額となることが多いです。)

③本人が半額以上負担している場合の食事負担(会社負担が月額3,500円(税抜)以下であるものに限ります。)

④職務に直接必要な技術や知識を習得させ、又は免許や資格を取得させるための研修会、講習会等の出席費用又は大学等の聴講費用に充てるための費用として適正なもの

⑤金銭を無利息又は低い利息での貸付けで、災害などで多額の生活資金が必要になったときなどの一定のもの

⑥従業員レクリエーション旅行で、旅行期間が4泊5日以内かつ参加者が全体の人数の50%以上であることなどの要件を満たすもの

⑦創業記念品として社会一般的にふさわしいもので、価格が1万円(税抜)以下であることなどの要件を満たすもの

⑧永年勤続者に支給する記念品や旅行への招待費用で、社会一般的にみて相当な金額以内であることなどの要件を満たすもの

この他、福利厚生費として従業員の福利厚生を目的にした常識の範囲内のものは給与課税されません。例えば健康診断費用や忘年会などの費用は、全従業員を対象とし、一般的な金額・範囲であれば給与課税されません。
 ただし、上記の場合でも、その負担相当額や記念品を金銭で支給するような場合は給与課税の対象となります。記念品として商品券を支給する場合には、支給を受けた従業員はその商品券と引き換えに商品を自由に選択して入手することが可能となりますので、商品券は金銭による支給と異ならないとの判断から給与課税の対象とされますので注意が必要です。


3.給与課税とされない旅行券

 上記2の⑧永年勤続記念の旅行の招待に変えて旅行券を支給することがあります。一般的に、旅行券は有効期限もなく換金性もあり、実質的に金銭を支給したことと同様になりますので、原則として給与課税されます。ただし、旅行の実施が旅行券支給後1年以内であること、1年以内に使用しなかった場合には会社に返還することなどの要件を満たしていれば給与課税しなくて良いことになっています。
 コロナ禍においては、旅行券を1年以内に使用するといっても、会社として従業員に旅行を自粛するよう要請する必要に迫られる場面もあるでしょう。この状況下で「1年以内」を文言通り適用するのは会社にも従業員にも酷といえます。会社が旅行自粛を要請する場合は、一旦、旅行券を会社に返還してもらうべきと考えます。また、旅行券ではなく永年勤続表彰後1年以内に旅行することを要件として規定しているケースであれば、会社として旅行自粛期間はその1年の期間から除くとする通達を書面で用意するなどの対応が考えられます。


4.さいごに

 ここまで説明した通り、原則として給与課税される現物給与ですが、きちんと制度を整備して適正に運用していれば給与課税せずに支給することが可能となるものがあります。長年同じように支給していても、担当者が変わるタイミングなどでいつの間にか要件を欠いた運用になってしまっていることも多いため、適宜、定期的に再点検してみるとよいでしょう。


税理士 妹尾明宏