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HOME労務・税務・金融税務に関する情報 > 知っておきたい最新の税務情報 第128弾

知っておきたい最新の税務情報 第128弾 [2021.08.25]

所得拡大促進税制について

 青色申告を行っている中小企業者が、前年度より従業員の給料を増加させた場合に、その増加額の一部を法人税から税額控除できる制度があります。この制度のことを所得拡大促進税制といいます。令和3年度税制改正により、従来と比較して適用の有無を判定する計算が簡素化され、適用もしやすくなりました。今回は、この税制について概要を説明します。
 なお、個人事業主についても法人と同様に適用があります。


1.適用要件

『雇用者給与等支給額が前年度と比較して1.5%以上増加』

 雇用者給与等支給額とは、所得金額の計算上損金の額に算入されるすべての国内雇用者への給与等の支給額をいいます。この金額が前年度と比較して1.5%以上増加していれば、適用要件を満たすことになります。改正前は、継続雇用者給与等支給額といって、前年度と適用年度に継続して勤務していた一定の国内雇用者への給与等支給額を計算する必要がありました。この点、改正後は国内雇用者への給与等支給額を比較するだけでよくなり、適用の判断が容易になりました。この改正により、賃上げだけではなく、雇用を増やすことでも適用になる可能性が高まります。

<注意点>

 役員やその親族などへ支払う給与等は、ここでいう雇用者給与等支給額には含まれません。役員報酬や役員の親族の給与等を増加させてもこの税制の対象にはなりませんので、ご注意ください。
 また、雇用調整助成金等を受けている企業も少なくないと思います。その場合、適用要件の判定では、雇用調整助成金等は雇用者給与等支給額から控除せずに判定します。


2.税額控除額

『控除対象雇用者給与等支給増加額×15%』

 控除対象雇用者給与等支給額とは、適用年度の雇用者給与等支給額から前年度の雇用者給与等支給額を控除した金額をいいます。つまり、前年度と比較して増加した雇用者給与等支給額の15%が税額控除額になります。

  例えば、
   ①適用年度の雇用者給与等支給額 600万円
   ②前年度の雇用者給与等支給額  400万円
  であった場合、
   (①600万円−②400万円)× 15% = 30万円(③)
  となり、税額控除額は30万円になります。

<注意点>

 税額控除額は適用年度に発生した法人税の20%が上限であることに注意が必要です。

  上記の例で、適用年度に発生した法人税が100万円であった場合
   100万円 × 20% = 20万円(④)
  が税額控除の上限になります。
  したがって、
   ③30万円 > ④20万円
 となりますので、税額控除額は20万円になります。控除対象雇用者給与等支給増加額の15%が必ず控除できるとは限りませんので、どのくらいの法人税が発生するのかもこの制度を利用する上ではポイントの1つになります。赤字や繰越欠損金により法人税の発生がない場合は、例え雇用者給与等支給額が増加しても税額控除はありません。
 なお、雇用調整助成金等を受けている場合には、税額控除額を計算する際、適用年度と前年度の雇用者給与等支給額からそれぞれ雇用調整助成金等を控除した増加額と控除対象雇用者給与等支給増加額を比較する必要がありますので、ご注意ください。


3.上乗せ措置

 『雇用者給与等支給額が前年度と比較して2.5%以上増加』
 かつ、次のいずれかを満たすこと
 『教育訓練費が前期比10%以上増加』
『中小企業等経営強化法に基づく経営力向上計画の認定を受けており、経営力向上が確実になされていること』
 この場合、税額控除額が、控除対象雇用者給与等支給増加額の15%から10%上乗せされて25%になります。


4.適用時期

 令和3年4月1日以降開始される事業年度より適用になります(個人事業主は令和4年分より)。それまでは改正前の制度が適用されますのでご注意ください。なお、適用期間は2年間となっています。


税理士 宮島富久雄